高線量の石材問題 二本松市の発注工事で108件使用

 福島県浪江町採石場の石が使用された二本松市のマンションで高い放射線量が測定された問題で、福島第1原発事故後に着工された同市発注工事224件のうち108件に同じ採石場の石が使われたことが、同市の調査で分かった。

 市によると、この中で周囲の空間線量より高い値を示したのは、既に明らかになっている同市岡ノ内地区の農業用水路工事の1件。毎時1.32マイクロシーベルトで空間線量(0.72マイクロシーベルト)の約1.8倍だった。工事は、高線量が計測された同市のマンションの工事を請け負った市内の建設会社が手掛けた。
 用水路の他、同市渋川地区の駐車場補修工事、同市金色地区のブロック修繕工事など8件で1マイクロシーベルト超す線量が測定された。学校では同市三中の屋内運動場補修工事で0.87マイクロシーベルト、岳下小の同工事で0.69マイクロシーベルトが計測された。

◎浪江の採石場、最高で40マイクロシーベルト福島県調査
放射線チェッカーG

 福島県は20日、二本松市のマンション工事に使われた放射能汚染の砕石を販売した「双葉砕石工業」(福島県富岡町)の浪江町採石場を調査し、最高で毎時40マイクロシーベルトの空間線量を測定した。
 線量は石採取場所で9.8〜36マイクロシーベルト、貯石場で11〜40マイクロシーベルト、砕石プラントで16〜21マイクロシーベルト、残土処理区域で34マイクロシーベルトだった。採石場計画的避難区域内の山あいに立地し、県と国の職員の計11人が4施設23カ所で高さ1メートルの地点で測った。
 県によると、砕石プラントには二本松市のマンションに使われた石が保管された可能性がある。プラントは屋根付きで壁がなく、石の表面の線量は屋根の下にあった物で3〜5マイクロシーベルト、屋根の外の石で10マイクロシーベルトだった。
 この石を含む4施設33地点の計数百点の石を採取して持ち帰り、県原子力センターで濃度を調べる。